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若者論を疑え! (宝島社新書 265) (宝島社新書 (265))



若者論を疑え! (宝島社新書 265) (宝島社新書 (265))
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若者論に関する基本書

「少年犯罪は凶悪化している」「ケータイやゲームは有害である」「ニートは自己責任である」等々、若者に関する主張がマスコミで報じられることがありますが(主に「識者」ぶった人によって)、著者はそういった考えは統計や研究に基づいたものではなく、根拠の無い単なる思い込みだとしてバッサバッサとぶった切っていきます。

少し前に出版された『戦前の少年犯罪』と同じような趣旨の本ですが、扱うテーマが犯罪だけに限らず多岐に渡っていて幅広い知識が得られるし、その割には新書ということもあってコンパクトにまとまっていてかなり読みやすく、著者自身が本書を「若者論に関する基本書」と位置づけているのも頷ける内容です。これで1984年生まれだとは相変わらず凄い。
また、巻末のブックガイドも◎。

文体や個別事例への踏み込み方は著者自身のブログの方が面白いと思うので、本書を気に入った人はブログも読んでみると良いんじゃないかなあと思います。


「オリジナリティ」って言うな!

 『「ニート」って言うな!』所収の後藤の文章が印象に残っていたので、本書の刊行を知って早速読んだ。インチキ若者論への解毒剤、またはワクチンとして非常に有効だと思う。後藤は東北大で都市・建築学を専攻する院生だが、84年生とは思えないくらい成熟した視線の持ち主だ。
 ピンで勝負するには知名度の低い後藤の本を出すにあたって、たぶん編集者の判断だろう、序文代わりに巻頭に本田由紀(東大准教授)との対談を置いている。また1・2章の後に別ライターによる「若者のリアル」という取材記事が挟まっている。
 本田は『「ニート」って言うな!』での縁もあって対談を引き受けたのだろうが、しかしこれ、あまり愉快じゃなかった。本田は後藤の仕事に敬意を払いつつも、「すでにいろんな論者が指摘していることを、より細かく、言説に即して検証」するだけの「モグラ叩き」で、「オリジナリティ」に欠けるのではとツッコミを入れている(p24)。対して「私は、(中略)『元から断ちたい』というところがある」(p29)、と。
 しかし言っちゃ何だが、グローバライゼーション下での競争激化(p31)だとか、「権力や資本」(p32)を持ち出す本田の議論だって「すでにいろんな論者が指摘している」し、そんなに「オリジナリティ」豊かとも感じられない。「元から断つ」というような革命幻想よりは、むしろ後藤の「負ける戦いを続けている感じですが、統計を出しながら、『一面的な見方が間違っている』という思考が少しでも広がるようにと思っています」(p27)という言葉や、「私は『武器屋』」(p45)という自己規定のほうに、私はむしろ共感する。「モグラ叩き」で何が悪い?
オリジナリティを疑え!

「ニートっていうな!」で鮮烈にデビューした気鋭の作家の第二作。
それなりに読ませる内容です。
どこかの書評にも書いてありましたが著者のブログの内容がベースになっています。

しかし個人攻撃で成り立つブログと出版というメディアは根本的に立場が違うため、
この著者のスタイルでは今後なかなか厳しくなるでしょう。

「若者論」への反論というものは、若者の特権。
往々にして、批判者自身が社会の中心となる世代に上がるにつれて厳しい立場に追い込まれるもの。
「変節」ということばを恐れてはいけないともいえましょう。
大人になって、いつまでもマイノリティでは寂しいものですから。
あるいは永遠にブログの中に逃げ込むという手もありますが…

厳しいことを書きましたが、著者のブログに「骨」を感じたので敢えて書きました。
自作での健全なる「変節」を期待しましょう。
小林秀雄もいっていましたが、私は基本的に人の批判は書かない、と。
行き詰まりになってしまうのかもしれませんね。
著者独自の根拠があいまい

この本の長所
1.若者論について、主に通俗的、政治的に保守な見解について、それなりの根拠を持って異を唱えているところ。この本の説が正しいかはさておき、通俗的、政治的に保守な見解を信奉している人にとっては新たな視座が与えられて自分で考えられるようになろう。
2.本田由紀さんとの対談はとりわけ面白かった(特に本田さんのツッコミが良かった)。
この本の短所
著者独自の根拠があいまいなところが散見されるところ。誰それのこういう研究があるから正しいというだけでは読む側としては著者の説に軍配は上げにくいであろう。
結論―長所星5つ、短所で星1つ減らして(難しいかもしれないが、著者独自と思われる見解が見たかったので)星4つ。

「根拠のない若者論」が政策や教育に影響してしまう、という危険性

キレやすい、やる気がない、昔はこうではなかった…。昨今、飛び交う数々の「若者論」。それらは、教育や政策と言ったものにまで影響を与えつつある。しかし、それらの言論を検証すると、多くが根拠がない、根拠の薄いものである。そして、それらによって出来てしまう問題について綴った書。
本書は、1章で凶悪犯罪などの統計データを元にした考察。2章で、ゲーム・ネット有害論、3章でフリーター・ニートなど労働問題の検証を行い、4章でまとめる、という形を取っている。
著者はネット上で活動を行っており、それを見慣れている人には少々、突っ込み方が足りないと感じるか思うが、「若者」を巡る言説がコンパクトに整理してまとめられており、「若者論」の大まかな流れ、構図というものを整理するのに良いのではないかと思う。無論、著者の活動を知らない方には、本書でも十分に考えさせられるかと思うが。
「今の若者は…」というのは、太古の昔から言われ続けてきたことであり、それがあること自体は今に始まったことではない。それが「ただの愚痴」で済んでいるのであれば、何の問題もない。ところが、現在の日本では、その「根拠のない若者論」が一人歩きし、それが政策や教育現場に影響を与えるようになってしまっている。「根拠のない若者論」による政策や教育というのは予算や時間を大きく損なうだけでなく、本当の問題への対応を遅らせてしまったり、差別など別の問題を作り出してしまう結果につながりかねない。それこそが問題である。
本書は「若者論」を題材にしているわけであるが、本書で訴えられいることは若者以外について考える際にも十分なヒントとなると思う。



宝島社
友だち幻想―人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書 (079))
友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書 710)
ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書 74)
若者を喰い物にし続ける社会 (新書y (175))
m9(エムキュー) (晋遊舎ムック)






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